映画 魔法つかいプリキュア! 奇跡の変身!キュアモフルン!
キュアップラパパ!
本日は魔法つかいプリキュアの映画。何が楽しみって、監督の田中裕太監督(通称タナカリオン監督)は僕が一番好きなプリキュアの監督なんですよね。
最近の『Hugっと』の第4話(ほまれがプリキュアに誘われる回)とか第15話(キュアえみ~る回)、そして何と言っても第37話(オールスター回後編)。他にもスマイルプリキュア43話のキュアビューティ回、Go!プリンセスプリキュアではシリーズディレクターも務めています。
丁寧な心理描写や、何と言っても印象的な絵作り、動きまくる戦闘シーンなど……僕の大好きな神回のその大半が後から調べてみると田中裕太監督だったという、本当にすごい監督さんです。
さっそく見ていきます。
「みんなミラクルライトを持ってるかしら?」
持っていないですごめんなさい。ダンスをするときの注意点もあったけど、ダンスもあるの?
という感じで短編がスタート。フルCGです。何だろう、全体的にディズニー感がある。いや、1回見てみてって。ディズニー感あるから。
「みんなどんなお願いするモフ?」
はい本編。いきなり変身。OP曲に合わせて軽快に敵を撃破。尺が巻き巻きされていますね。
思ったんですが、キュアミラクルとキュアマジカルって、二人一組じゃないと変身できなかったり必殺技を手を繋いで放ったりとけっこう初代要素多いですよね。そこの追加戦士が二人の子供のはーちゃんってのは確かにそれ以外ないかなって感じもする(子供じゃないです)。
流れ星。流れ星に何をお願いするとモフルンに問われる3人。リコは魔法の本、はーちゃんもリコに乗っかって魔法の本をお願いします。サンタじゃねえぞ。
ひとり、みらいだけは願い事を決められないでいると、再び夜空に流れ星が。しかもみらいたち目掛けて落下してきました!
流れ星を顔面キャッチするみらいちゃん。流れ星はミラクルライトに変わりました。
出てくるのはえ~
「それはミラクルライト。今度の祭りに必要なものじゃ」
と魔法学校の校長。なるほど、学校から送られてきたのか。普通に送れなかったの?
100年に一度のお祭り、『大魔法フェスティバル』。それが今回の話の主軸ですね、把握。
みらい、リコ、はーちゃんの3人は大魔法フェスティバルに参加するために魔法界にきました。たくさんの風船の中にあるお祭り会場。賑やかです。クマもたくさんいます。よく見るとくまモンもいますね。
くまモンがいる?????
大魔法フェスティバルは100年に1度の『願いの石』の復活を願う大イベント。それは石に選ばれた一人のどんな願いでも叶えてくれる石。7騎のサーバーントとそのマスターがその石を巡ってどうのこうの
ここでも『願い』。みらいは噛みしめるようにその言葉を呟きます。
広間。間も無く石が目覚めようとしています。校長は、石が目覚めたらミラクルライトに願いを込めて振ってくれと言います。広間の人たちに対してでもあり、これはスクリーン前の子供たちに対してでもでしょうかね。ミラクルライトはこのお祭りに参加するためのキーアイテム。俺もミラクルライトさえ持っていれば……
石の蕾の中から目覚める『願いの石』。広間の人たちが願いをこめると、願いは風船に変わり空に登っていきます。
みらいは願い事を思いつくことができないままです……。
モフルンの願いの風船だけやたらでかい。その大きな願いを、『願いの石』は選びました。
「では石に願うといい。何か欲しいものがあるのか?」
「ないモフ」
「どこかいきたいところがあるのか?」
「ないモフ」
「では……なにかやりたいこととか?」
「ないモフ」
「おぬし……一体何を願ったのじゃ?」
校長がどんどん困惑していくのが楽しい。実際モフルンには、叶えたい願いというものはなかったのでした。モフルンのお願いとは、みらいやリコ、はーちゃんのお願い事が叶って欲しいということ。
モフルン自身の願いは、モフルンには思いつかなかったのです。
「ならば、俺の願いを叶えてもらおう」
そこへ悪そうなクマが現れました。「クマ?」という人々の声に、悪そうなクマは厳かに返します。
「いいや。アクマだ」
どこかで聞いたことのある宣言とともに、悪そうなクマは配下のクマのような怪物を大量に祭りの会場に放ちます。魔法で応戦する魔法学校職員(プリキュア以外に戦闘に参加できる集団がいるのは割と面白いですよね)。プリキュアたちも変身して加勢します。
「あなた! 石を奪ってどうする気!」
「決まっている。願いを叶えるのだ。この俺、ダークマター様がな」
ダークマターの叶えたい願い、それは世界から全ての魔法使いを消すこと。ダークマターはキュアミラクルを圧倒し、石を強奪。そして、石に選ばれたモフルンも合わせて攫ってしまいます。その手をなんとか繋ぎとめようとするみらいでしたが、一歩届かず。ダークマターは黒いドラゴンに乗って去っていきます。
モフルンが離れてしまったことでみらいとリコは変身能力すら失ってしまいました。
途方に暮れるリコ。みらいに相談しようとしますが、みらいは箒で単身モフルンを追いかけてしまっていました。完全に周りが見えていません。
モフルンの大冒険
ダークマターの拠点を逃げ回るモフルン。ダークマターひとりでは願いを叶えられませんでした。なんとしてもモフルンが必要なダークマター。
ダークマターの拠点は、クマの森の中にありました。やっぱりクマなんだ。クマの里は普通に平和そうです。モフルンは森のクマたちと親睦を深めます。この森はなんなんだろう。ダークマターの故郷?
夜、黒いクマさんが森に現れました。他のクマたちは彼クマタを避けていますが、モフルンは特に気にすることなく彼に自己紹介をします。どう見てもダークマター関係者彼はいったい?
徹夜でモフルンを探していたらしいみらい。もうふらふらの状態です。あやうく箒から落下しそうになったところへ、みらいを探してリコとはーちゃんが現れました。
折れた箒でなおモフルンを探そうとするみらいと、リコは叱りました。そんな箒じゃ無理だ、あなたにまで何かあったらどうするつもりなのか、と。
みらいがモフルンを心配するように、リコやはーちゃんにとってもみらいが大切。そしてみらいと同じように、リコやはーちゃんもモフルンが心配。
クマタは、モフルンがお腹を空いているのを知るとクッキーを分けてくれました。クッキーが好きなことを知ると、今度はクッキーの家を。不思議がるモフルンに、クマタは不敵に言います。
「簡単なことだ。この俺の魔法ならな」
「クマさんなのに魔法が使えるモフ? すっごいモフ!」
魔法を使えると知っても自分を避けないモフルンに、クマタは意外そうな顔をします。
また1日が暮れていきます。モフルンは、クマタにもらったクッキーを半分に割ってクマタに差し出します。
「一緒に食べるモフ」
自分に親しげに話しかけてくるモフルンに、クマタは不思議そうに聞きます。自分を怖くないのかと。森の他のクマのように自分を避けようとしないのかと。
モフルンはクマタの魔法を素敵だと答えます。それにとても優しいと。
それを聞いたクマタは、ならばずっと一緒にいて欲しいと言います。
他の人のことなど忘れて、自分の願いをーー
みらいたちは、夕暮れの空にたくさんの流れ星が落ちていくのを見つけました。それをみながらみらいは、幼い頃の出来事が頭に浮かんだようです。
「私、わかった。私の願い。私はただ……」
みらいの願いは、ミラクルライトの力で風船となって夜空に登っていきます。
モフルンもまた、同じように流れ星を見つめていました。そしてまた願いを夜空に。
このシーン、絵がとんでもなく美しいんですよ。セリフは本当に少ないんですが、とにかく絵が、全てを訴えてくる。こういう演出を見ると、やっぱり田中裕太監督はすごいと思います。
あとみらいとモフルンのデュエットソングやめて。泣いちゃう。
夜空に登ったモフルンのミラクルライトの風船。それを見て、みらいたちにもモフルンの場所がわかりました。
一方のモフルンも、帰らなくてはいけないと思い出します。いや忘れてたんかい。ずいぶんクマの里をエンジョイしてるなって思ってたよ。
モフルンはクマタに別れを告げようとしますが、クマタは自分から離れていくモフルンが許せません。
クマタは、ダークマターとしての正体を現します。全てはモフルンを利用するための芝居だったと。
ダークマターは、モフルンがもしここに残るならプリキュアたちには手を出さないと言います。しかしもしプリキュアの元に行こうとすれば……。みらいたちの幸せを自分より優先しているモフルンにとって、これほど戦意をくじく脅しがあるでしょうか。モフルンは抵抗する意志を失ってしまいます。
相手のための自己犠牲、これってみらいがモフルンを身を削りながらモフルンを探そうとしたことと同じですよね。相手の幸せのために、自分の存在もまた必要であるということを忘れてしまっています。
プリキュアたちの前に現れ、立ち去るよう警告するダークマター。聞き入れないとわかると、黒いドラゴンを使い攻撃に移ります。モフルンとの約束を守る気はないようです。はーちゃん=キュアフェリーチェが応戦し、変身できないみらいとリコはモフルンのもとへ急ぎます。
しかしそんな二人の前にはダークマターが直接立ちふさがりました。リコは魔法を使い、みらいだけをその場から逃がします。変身できなくても魔法が使える設定がかなり生きてますよね。
モフルンの元へたどりついたみらい。しかしモフルンは、みらいたちを守るために残ろうとします。そこへ現れるダークマター。変身できないリコでは足止めにしかならなかったようです。ダークマターはリコを捕まえた上で、こうなりたくなければ帰れとみらいを脅します。
しかし脅しに屈するみらいではありません。モフルンに想いを伝えるために来たのです。
モフルンは自分の笑顔を願っていたけれど、私が笑顔のときにはいつもモフルンがそばにいたということ。私が笑顔でいられたのは、モフルンが一緒にいてくれたからだということ。
モフルンもそれを聞き、自分の本当の願いが「みらいが笑顔でいること」ではなく、「みらいのそばで、みらいの笑顔を見ること」だと気がつきます。
みらいと一緒にいたい! その願いを、『願いの石』は聞き遂げました。
「モフモフモフルン! キュアモフルン!!」
「ワープ進化」
デジモンかな。何にせよ、しゃべるクマのぬいぐるみモフルンは、奇跡の力でキュアモフルンに変身! ダークマターからみらいやリコを守るために戦います。しかもやたら強い。
「クマタ、モフルンはちょっと怒ってるモフ!」
戦闘シーンがこれまた動くこと! 箒アクションがすごいです。戦闘シーンが動いて楽しいのが田中裕太監督の持ち味だと思います。
モフルンが戦っているすきに、みらいはリコを救出。黒いドラゴンの洗脳を解いたフェリーチェも合流し、形成は完全に逆転しました。黒いドラゴンは、ダークマターの黒い影に覆われていた白いドラゴンだったのです。
一緒に戻れたことを喜ぶモフルンたち。その姿を見て、ダークマターは怒ります。
「みんななどいらない!」
「もう願いの石は消えた……。ならばせめて、俺の力で! 全てをめちゃくちゃにしてやる」
ダークマターは魔法の力を放出。
ダークマター、いえクマタは魔法の力を持つクマであったがゆえに、人々に拒絶されて生きてきました。何一つ悪いことをしていなかったのに。だからこそ、彼は魔法の力を、そしてそれを恐れた人々を憎むようになってしまったのです。
「クマタ……寂しかったモフ……?」
クマタの寂しさに気がついてしまったモフルンはなんとかダークマターを止めようとしますが、ダークマターの一撃によりモフルンとしての力の源である胸の石を破壊されてしまいました。
石を失ったことにより、元の『喋らないただのぬいぐるみ』に戻されてしまったモフルン。悲しむみらいたちを見て、ダークマターもまた動揺を隠せませんでした。
自分がモフルンを殺してしまったことに涙を流すダークマター。彼もまた、本心ではモフルンと一緒にいたかった。モフルンを利用すると言いながら、ドラゴンすら操った魔法を結局モフルンにはつかえなかったダークマター。そのことを指摘されたダークマターは、元のクマタの姿に戻りました。
友達を自分の手で失ってしまったことを後悔し、涙を流すクマタ。
しかしもう、ダークマターの魔法は発動していました。巨大な黒い憎悪の塊が、魔法界中にその力を放出していきます。全ての魔法の力をダークマターの魔法に吸われてしまったクマタにも、もう発動した魔法を止める術はありません。
しかしみらいはあきらめませんでした。ちっぽけな魔法で、ダークマターの魔法に立ち向かいます。モフルンは死んだわけではない。ただ喋れない元のぬいぐるみに戻ってしまっただけ。だけどみらいは知っているのです。その状態でも、モフルンがずっと自分といてくれたこと。そのことをモフルンも覚えていてくれたこと。だからあきらめません。
リコもまた、その姿に本編1話の時のみらいを見ました。あのときと同じようにみらいが前を向き続けているなら、きっとあのときと同じように、奇跡だってもう一度おこせる。
しかも今回は、リコだけではなくはーちゃんもいます。
自分の過ちを止めたいと願う、クマタ自身の願いも。
その願いが、再び奇跡を起こしました。
プリキュアの力は復活し、キュアミラクル・キュアマジカル・キュアフェリーチェ・キュアモフルンが復活します。モフルンと再びしゃべれた喜びを胸に、4人はダークマターに立ち向かっていきます。
ここからは本当に超・高カロリー作画!!
プリキュアの全スタイルを連続でスタイルチェンジしながらの戦闘シーン。テレビでは絶対に見れないような演出です。モフルンもスタイルチェンジするのか! ダイヤ、ルビー、サファイヤ、トパーズと次々に能力繰り出すプリキュアたち! 挿入歌に合わせて能力を惜しみなく使う戦闘はもう本当にとんでもない! さいっこうだ!
皆の応援を受けて、プリキュアはハートフルスタイルに変身。プリキュア・ハートフルレインボーでダークマターの魔法を浄化します。
自分の魔法が消え去ったのを確認し、クマタはモフルンたちに背を向けました。
ですがもう、クマタは孤独ではないのです。モフルンという友達ができて、それにこれからはきっと、他の人たちとも想いをつないでいける。
「またな!」
そう笑顔でモフルンに手を振るのでした。そんなクマタに、1匹の子クマがそっと手をさしのべました。
王道直球豪速球
プリキュアはあくまで、子供のためのアニメです。子供に送りたいメッセージが、子供に伝わる形で示されています。
今回の映画も、ストーリーは非常にわかりやすいものでした。テーマとしても、人を大切にすることという普遍的なものです。
ですが、この映画は『子供騙し』ではないのです。しっかりとした物語の土台があり、それを力強く訴えてくる映像があった。表面だけのきれいごとじゃない、キャラクターたちの心の底からの願いがあった。本編での積み重ねも相まった強烈なメッセージの一撃です。
強い。プリキュアは強い。物理的な話じゃなくてね。
今回の映画を語る上で、外せないのはやはり戦闘シーンでしょう。動く! すごく動く! だけではなくて、アイディアが豊富で見ていて楽しいんですよね。キュアモフルンの肉弾戦や、テレビシリーズのとき以上の箒アクション。そして何と言っても、連続スタイルチェンジ! とんでもない熱さでした。強い。プリキュアは強い。物理的な話で。
キャラクター、ストーリー、演出、戦闘シーン。どこをとっても外れないすばらしい映画でした。
冗談ではなく、後半は泣きながら見てました。大の大人が泣いてしまうんだから、相当だと思います。
間違いなく傑作!